ビールを一杯飲んだだけで赤くなる奴に、無理に飲ませるな、という内容の論文が刊行されました。急性アルコール中毒になるといけないから?いえいえ、何と、飲み続けると食道がんのリスクが高まるのだそうです。いやあ、知らないって恐ろしいですね。リンク:PLos Medicine: Brooks等(オープン・アクセス)
- 東アジア人(日本人、中国人、韓国人)の36%はアルコールを飲んだときに顔の紅潮や吐気、頻脈などの特徴的な生理反応を示す。殆どの場合はアルコールを分解する酵素の一つであるALDH2の先天性欠乏が原因だ。
- ALDH2欠乏者は飲酒による食道がん、具体的には扁平上皮細胞腫のリスクが高い。アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドはALDH2によってアセテートに代謝されるが、欠乏者の場合は蓄積するからだ。顔の紅潮もアセトアルデヒドが原因。
- リスクはアルコール摂取量と相関し、Yokoyama等の研究によれば量の多い人は殆ど飲まない人の数十倍に高まる。ホモ接合型(両方の遺伝子が欠乏型)の患者は殆ど飲めないのでリスクが高まらないが、ヘテロ接合型は飲もうとすれば飲めるので注意が必要だ。
- ALDH2欠乏は簡単に見分けることができるので、医師は飲酒を控えるようにアドバイスしたり、リスクの高い患者の内視鏡検査を行ったりすることができる。
食道がんは男のほうが多く、日本の男は年1万人が食道がんで亡くなっています。喫煙もリスクを高めます。胃癌や乳癌のように患者数が多くまた早期発見で転帰を改善できる可能性のある病気は、政府が熱心に取り組むので、健康診断などに検査が組みこまれています。一方、他の癌は費用対効果の面などからややもすると疎かになりがちです。
論文によると食道がんも早期に発見できれば内視鏡手術で対処できるようです。それだけに、このような知識を得て自分にリスクがあるのかどうか、あるのならどうしたらよいか、自分で考えて行動することが大事ですね。
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