2009年12月5日土曜日

抗インフルエンザ薬と異常行動

タミフルといえば数年前に、二階から飛び降りるなどの異常行動が多数、報告されました。07年3月に厚生労働省が適応を見直し、ハイリスク患者以外は原則として10代には使用を差し控えるよう通知したため、タミフルの異常行動症例は減りましたが、代わりにリレンザの異常行動報告が増加しています。10代におけるリレンザのシェアは8割に達するようですので、その分、異常行動症例も増加したのでしょう。結局、タミフルだけの問題ではなくノイラミニダーゼ阻害剤のクラス・イフェクト、または病気自体の合併症だったのでしょう。

タミフルの10代使用制限とリレンザの容認は続けられていますが、見直しても良いのではないでしょうか。リレンザは吸入薬なので重い呼吸器症状の患者には適していないからです。

今後、塩野義製薬の点滴用ノイラミニダーゼ阻害剤peramivirや、第一三共の一回吸入型ノイラミニダーゼ阻害剤CS-8958、そして富山化学のポリメラーゼ阻害剤T-705など、日の丸抗インフルエンザ薬が続々と登場する見込みです。今のうちに、タミフルやリレンザの異常行動問題の解明を十分に進めないと、先送りするだけでは将来また同じ問題が発生するかもしれません。


重度異常行動の発生状況
シーズンタミフルリレンザアセト
アミノフェン
不明/
服用なし
06/071375054365
07/08771192737
08/0917947185093
09/1015126363784

注:岡部研究のデータ。09/10シーズンは11月15日まで。複数の薬を併用しているケースがあるので数値はダブルカウントがある。

出所:インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究(pdfファイルです)


異常行動症例
(自発的有害事象報告)
タミフルリレンザ
05/06シーズン780
06/07シーズン17010
07/08シーズン2558
08/09シーズン2797
発売以来累計353167
うち、10歳未満13847
10代161115

注:厚生労働省に届けられた有害事象報告を各社が追加調査した上で解析したもの。

出所:厚生労働省

Valsartanは名古屋では引き分けに

次は、同じくACCのLate-breakerで発表されたNagoya Heart Study(NHS)です。試験の内容や結果は納得できるものですが、分からないのは、Kyoto Heart StudyやJikei Heart Studyとの関係です。この二本の試験ではvalsart...