メタボ検診についてもう少し調べてみましたが、血糖値が高めな人に関しては厄介なことになりそうですね。前言撤回します。
人間ドック学会のガイドライン作成委員会報告を読むと、厚生労働省の『特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き』と異なった判断をしています。血糖値が受診勧奨判定値に達しない人でも、表の積極的支援(1)に該当する場合は、半年程度の生活習慣改善指導を行って数値が改善しないならば受診と薬物療法開始を薦めるプロトコルになっています。血圧などに関しては厚生労働省の受診勧奨判定値と大差ありません。それぞれの学会の温度差を反映しているのでしょう。
薬には副作用が付き物です。病気なら已むを得ないですが、病気になる前の段階で薬を飲んでもどの程度意味があるのか分かりません。FDAは糖尿病の治療・予防薬に関するガイダンス資料を発表しましたが、その中で、メタボリックシンドロームという診断・病名に否定的なスタンスを示しています。糖尿病予防薬(血糖値が高めな患者に血糖降下剤を投与するのは視点を変えると糖尿病の予防を意味します)に関しては、単に糖尿病発生リスクを削減するだけでなく、投与を止めた後もある程度の効果が残ることを求めています。このような効果を示した薬はありません。Avandiaは大規模な糖尿病予防試験が成功し、大きく報じられました。その後、投与を止めた後は偽薬群と同じだったことが発表されましたが、南アフリカで開催された学会であったせいか、全く報道されませんでした。もう直ぐ、Actosの糖尿病予防試験の結果が発表される見込みですが、同様なことが起きるかもしれないので注意が必要です。
このFDAのガイダンスは、心血管疾患予防効果を確認するよう求めていないので、どちらかと言えばハードルは低いのですが、今の薬はそのハードルもクリアできないのです。
お医者さんがメタボのパラメーターだけでなく総合的な判断に基づいて薬物療法の是非を決めてくれることを望むだけです。
2008年3月26日水曜日
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