2008年1月13日日曜日

アルツハイマー病患者の余命

アルツハイマー病の患者は、あと何年生きるのか?なんとも浅ましい話題ですが、介護する人にとってはきれいごとではないでしょうし、病気の知識をタブーにするのはできるだけ避けたいものです。健康な人や若い人にとっても他人事ではないのですから。

BMJ誌に英国で実施された試験の論文が刊行されました。それによると、アルツハイマー病の発症年齢の中央値は女は84歳、男は83歳で、死亡年齢はそれぞれ90歳と87歳でした。四分位範囲は2~8歳でした。当然のことながら、比較的若い患者ほど長生きでした。また、症状が重い患者ほど短命でした。

米国で実施された調査でも同様な結果が出ています。70歳で発症した女は8年、80歳は5年となっています。

これらの試験では、病状がどう進行したかが明確にされていません。同じアルツハイマー病でも中度と高度ではかなり違います。介護者や本人にとって一番重要なのは、高度アルツハイマー病の期間がどれ位続くのかということではないでしょうか。今後の報告や調査を待ちたいものです。


アルツハイマー病患者の生存年数(英国)
発症年齢8483
死亡年齢9087
生存年数4.64.1
生存年数(四分位範囲)2.9-7.02.5-7.6
発症年齢別生存年数
65-69歳7.5na
70-79歳5.84.6
80-89歳4.43.7
90歳以上3.93.4

注:英国に住む65歳以上の13004人を対象としたMRC CFAS調査の結果。期中にアルツハイマー病と診断された438人の生存期間を解析したもの数値は中央値。

出所:J Xie等、doi: 10.1136/bmj.39433.616678.25


アルツハイマー病患者の生存年数(米国)
発症時の年齢
70歳8.04.4
75歳5.84.5
80歳5.33.6
85歳3.93.3
90歳2.12.7

注:米国のシアトル地域のアルツハイマー病患者521人を対象とした試験の結果。数値は中央値。

出所:Larson等、Ann Intern Med. 2004;140:501-509



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