ジェネンテックは、専門医の学会であるAAOやASRSと話し合いを踏まえて、来年以降も医師がAvastinをオフレーベル使用できるような対策を講じたことを発表しました。
前回書いたように、ジェネンテックは2008年1月から調剤薬局向けの販売を止める計画です。きっかけはFDAの工場検査で眼科の基準に適合しないロットの廃棄を命じられたことでした。Avastinは抗癌剤で硝子体に注射する薬ではないのですが、調剤薬局がバイアルを小分けして加齢性黄班変性の治療用薬として転売していて、値段が安いため多くの患者が使っています。本来、ジェネンテックの責任の範囲外なのですが、同社は一部の調剤薬局と直接契約して販売していたために、知らぬ顔はできなかったのです。
対策として調剤薬局向けの販売中止を決めたところ、学会などから反発を受けました。このため、妥協策として、医師が問屋に指示して、薬を調剤薬局や病院の薬局、診療所に直接届けさせることができるようにしました。
指示をするのはジェネンテックではないので、「眼科の基準を満たしていない製品を眼科向けに供給している」という批判を免れることができます。しかし、今度は別の問題が生じました。AAOは、医師が法令違反に問われる州もあるので法律家と相談するよう推奨しています。
今回の動きは、オフレーベル使用に付随する法的問題をどうやって潜り抜けるかという、言ってしまえば法の抜け穴探しみたいな話です。抜本的な対策は、加齢性黄班変性の治療薬として承認されているLucentisを、自己負担額すら払えない人たちでも使えるようにすることです。ジェネンテックはAAOやASRSと話し合いを続けて、負担を肩代わりしてくれる財団に申請する時の手続きを簡便化・迅速化する考えです。
2007年12月22日土曜日
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