JUPITER試験の発表は学会でも医学誌でも大変な反響を呼びました。New England Journal of Medicine誌がウェブサイトで読者の評価や意見を募集したところ、二つの質問に2553人が回答し、コメントを寄せた人が473人いたそうです。「健康な成人のスクリーニング方法を変えるべきか」という質問も、「外見上健康な成人もスタチンで治療すべきか」という質問も、賛成と反対が拮抗しました(前者は49%対51%、後者は48%対52%)。多数決で決まる問題ではありませんが、納得していない人が多いことを考えれば、JUPITER試験の経験を礎にして一歩先に進むための臨床試験が必要でしょう。
ところで、Correspondanceとその回答が掲載され、JUPITER試験の謎の一つであった、心血管疾患で亡くなった人の数が明らかになりました。この試験は第三者委員会が厳格な判定基準に基づいてアジュディケーションしたため、担当医の評価が覆された例が多かったそうですが、何れにせよ、rosuvastatin群は35例、偽薬群は43例。ハザードレシオは0.82で有意差はなかったのですが、点推定値自体は全死亡の0.80と同程度でした。
私たちアジア人に重要な情報としては、rosuvastatinの曝露が2倍になるという書簡がありました。作用機序からいえば血中濃度より肝臓に取り込まれる量のほうが重要なのでしょうが、JUPITER試験の20mgは日本人には10mgと考えたほうが良いでしょう。
糖尿病リスクについては、rosuvastatinはCORONA試験でも高かったという書簡がありました。pravastatinの試験ではむしろ少ないトレンドがあり、simvastatinやatorvastatinは中間なので、LDL-C低下作用と逆相関しているとのことです。これに対して、論文著者は、糖尿病を発症した人は肥満や空腹時血糖異常が多く、rosuvastatinの治療メリットが大きかったはずと反論しています。
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