Plavix(clopidogrel)と2C19機能低下多型との関連は現在も議論の対象になっています。エビデンスを増やす必要がありますが、アメリカのPBM(薬剤費給付管理組織)Medco Health Solutions社が、新たな観察的試験、GeCCO試験を立ち上げました。急性冠症候群でPCIを受ける14600人を組入れ、09年10月開始、11年10月に完了する計画です。
PBMは医療保険の薬剤費管理を代行する組織です。購買力を生かして製薬会社から大口割引を引き出すと共に、ジェネリック薬の普及推進などを通じて医療費を抑制します。今回の試験の狙いを一言で言うと、2012年にclopidogrelのジェネリック薬が発売されることを睨んで、「2C19が正常に機能している患者には高価なEffient(prasugrel)ではなくclopidogrelのジェネリックで十分」というエビデンスを獲得することです。
アメリカは国民皆保険制ではなく、公的制度は高齢者向けのメディケアや低所得者向けのメディケイドなどだけで、国民の大半は民間の医療保険に加入しています。良し悪し両方ありますが、今回の試験は民業の長所を表しています。コスト削減策を正当化するためにきちんとしたエビデンスを作ろうとしていること、ジェネリック化の前に完了することでエビデンスを直ぐに活用できるようにしていること、などです。
この試験は前向きコフォート試験で、clopidogrelを服用する患者に2C19多型検査を行って、extensive metabolizers(機能喪失多型を持っていない)と判定された人の心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中のリスクを、prasugrelを服用する患者と比較します。
残念なのは、prasugrel群の多型検査は行わないことです。これまでの疫学的研究と同様に、もし2C19機能喪失変異自体が心血管リスク因子であった場合、研究の意味がなくなってしまいます。
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