ADVANCE試験の概要
- 二型糖尿病で合併症のリスクが高い患者11,140人を対象に平均4年間実施された、合併症発症リスクを調べる試験。
- 豪州や東欧、西欧、アジアなどの施設で01年から08年1月まで実施。
- 主スポンサーはオーストラリアのNational Health & Medical Research Councilとフランスのセルビエ社。
- 2x2方式で二種類の介入方法を検証。第一はセルビエのACE阻害剤・利尿剤コンビ薬と偽薬の比較で、この解析結果は昨年のESC学会で発表済み。コンビ薬群は偽薬群と比べて最大血圧が5.6mmHg、心血管疾患による死亡リスクが18%低かった。
- 第二は、HbA1cを6.5%以下に引き下げることを目標とする集中治療と各国の標準治療の比較。08年3月にキーロック、9月のEASD学会で結果が発表される模様。
- 今回の発表は、ACCORD試験の発表を受けて、ADVANCE試験のデータ監視安全性委員会が公表したもの。中間解析だが、99%以上の患者のデータに基づいている。
ACCORD試験とADVANCE試験は良く似ています。違いは、第一に実施地域がそれぞれ米国中心と豪州・東欧中心であることで、スタチンなどの服用率や心筋梗塞発生時のケアの内容などが異なる可能性もあります。第二は、患者の元々のHbA1cがACCORD試験のほうが高いことです。治験中のHbA1cは大差ないようですので、ACCORD試験のほうが大きく引き下げたことになります。これが裏目に出たのかもしれません。
今の段階であれこれ考えても仕方ありません。そもそも、集中治療の大血管性・小血管性合併症予防効果はまだ確認されていないのですから、この段階で安全性を云々しても意味がないでしょう。
二型糖尿病患者の死因として最も多いのは心臓病です。リスクの高い患者はスタチンやアスピリン、降圧剤の服用を検討すべきで、血糖値をもっと下げるべきかどうか検討するのは、その後でしょう。
| ACCORD | ADVANCE | |
|---|---|---|
| 実施地域 | 北米 | 豪州東欧など |
| 実施期間 | 01~09年 | 01~08年 |
| フォローアップ期間 | 約4年 | 4年強 |
| 割付数 | 10,251人 | 11,140人 |
| 患者背景: | ||
| 平均年齢 | 62歳 | 66歳 |
| 男 | 61% | 57% |
| 平均病歴 | 10年 | 8年 |
| 心血管病歴あり | 35% | 32% |
| HbA1c | 8.2% | 7.5% |
| 集中治療の内容: | ||
| HbA1c目標 | <6% | 6.5% |
| 薬品の選択 | 任意 | gliclazide中心 |
| 結果: | ||
| HbA1c | 6.4%対7.5% | 6.4%対7.0% |
| 主評価項目 | 不詳 | 未解析 |
| 両群平均死亡率 | 4.5% | 7.9% |
| 群間の偏り | あり | なし |
注記:ADVANCE試験の患者背景は8割程度の患者のもので、両群平均死亡率は降圧剤スタディのデータ、期中のHbA1cは報道に基づく。
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